 | 個人的な意見です。「ソード・ワールド・サポート」や各種公式リプレイ等を参考にしています。
1.特に制限を設けない宗派:ガネード、ヴェーナー
《ガネード》 ……「ぺらぺらーず」で「盗賊ギルドの神官ならガネードだろう」等の描写がある、「ソード・ワールド・サポート」に、シーフ技能で職業的に泥棒行為をはたらくガネード神官のサンプルキャラクター(NPC向きではありますが)が紹介されているなど、「盗賊にも加護を与え、奇跡の行使を許す神」としての神格が、公式設定においてもかなり明確にされています。
《ヴェーナー》 ……ヴェーナーは神格の定義や教義が不明確ですが、名も無き狂気の神と同一視される場合もあるとされるほどですから、ファリス的なお堅い教義ではないと推測されます。 さらに、教義や神格の解釈が画一的でないということは、神官ごとにいろいろな信仰の解釈があってもヴェーナー自身はそれを受容するであろうと考えることができ、PCの設定やRPでの折り合いをつけやすいともいえます。
※教義という点でもそうですが、現行の月光華亭においてはこれらの2宗派は特殊神聖魔法を使用しないため、特殊神聖魔法による戦闘バランスの変化について考慮する必要がないというのも理由のひとつです。
2.ある程度の制限をつけるべき宗派:ラーダ、チャ・ザ
五大神の中では比較的問題が生じにくい宗派だと思っています。 「2人目以降に」程度の制限は必要だと思いますが、申請するにしてもあくまで事前申告程度で「許可」というほどでもないのではないかと。
《ラーダ》 ……野蛮な行いは忌避するという程度で、具体的な禁忌が明確でない宗派です(もちろん、一般的な道徳としての殺すな盗むなetc、はあるでしょうが、これはシーフがどうということはなくPCの善性の範囲でしょう)。 また、知識を求めること、知恵をめぐらせることを尊いとする教義から、遺跡探索や、戦闘において作戦を考案するなどの冒険者的行動との相性も、良くはないにせよ悪くもないと思います。 (まあ、象牙の塔にこもっていないで遺跡で泥まみれになってるラーダ神官、ということで神殿では変わり者扱いされるかもしれませんが、そういう人もいないと知識は世に出てこないものですから、ラーダ自身はそういう生き方は否定しないのではないかと) 特殊神聖魔法「ウィークポイント」はそのキャラクターだけでなくPT全体が恩恵を受けられる魔法であり、シーフのプリーストがかけようが他のプリーストがかけようが結果としては同じなので、シーフのプリーストだから極端に有利不利があるとはいいにくく、禁止の根拠としては弱いと考えます。
《チャ・ザ》 ……「ソード・ワールド・サポート2」の「名も無き狂気の神」のサンプルキャラクターとして、実は名も無き狂気の神の神官なのだが、暗黒神の神官が身内にいるのはいくら盗賊ギルドでもまずいので表向きチャ・ザ神官ということにしている、という盗賊ギルドのシーフがいます。 また、チャ・ザの幸運神としての神格から、賭博師・山師などの、いかがわしい信者も一定数いる、と「ソード・ワールド・サポート」に書かれています。こういう人々は基本的に盗賊ギルドの管轄下にいますし、ファリス的道徳感覚では悪の側に近い人たちでしょうが、彼らの中にも信者は普通に存在しているわけです。 この2例から、アレクラストでは、盗賊や、盗賊ギルド関係者にチャ・ザ信者や神官が居る、ということ自体は(眉をひそめられることはあるにせよ)別におかしいことではない、という解釈が成り立ちます。 教義では盗みを禁じていますが、PCの場合、PCに期待される善性に基づいて行動する限りこの教義に抵触する可能性は低いでしょう。また、遺跡から出てきたものを自分のものにするのは構わないなど、冒険者が冒険者として生活することを咎める神ではありません。 また、特殊神聖魔法という面でも、シーフの「ラック」に特に極端な有利不利は予想されません(回避や抵抗、生死判定の成功1回、というのはどんなキャラでも変わらないですし)。
3.サイトとして禁止すべき、または上記より厳しい制限を設定すべき宗派:ファリス、マイリー、マーファ
他宗派では、PCに求められる善性の範囲で行動すれば教義にも抵触しないだろうし、OKでは? という論旨で述べてきましたが、これらの3宗派に関しては、そもそも基本的な教義が普段のPCの行動を束縛する度合いが高いだけに、難易度が非常に高いと考えています。 禁止とまではいかなくとも、許可制に準ずる制限が必要だと思います。
《ファリス》 ……社会における必要悪であるシーフや盗賊ギルドをファリスが受け入れるかどうか(シーフがそもそもファリスの声を聞けるものなのかどうか)は個々のプレイヤー(含GM)によって解釈が割れるでしょう。 過去IRCで話題になったときにも、結局各人ごとに違うということがわかっただけだった記憶があります。 教義とか有利不利とかいう問題以前に、参加者同士でもめる原因になりやすいので遠慮してくれ、というのが正直な気持ちです。 うまく演じられれば非常にドラマティックでプレイヤーとして気持ちいいだろうとは思うのですが、複数GM制の月光華亭では難しいのではないかと。
《マイリー》 ……戦うときは正々堂々、という教義のマイリーが、急所狙いや闇討ち上等のシーフ技能での戦闘をよしとするかどうか、という教義上の問題がまずあります。 これに関しては「シーフのやり方も含めて持てる技のすべてを出し切って戦うことこそ『正々堂々』」という解釈で押し切ることも不可能ではありませんが(確か公式小説にそういったお話があったような)、どちらにしても解釈でもめることは予想できます。 また、だからといってマイリーのシーフはクリティカル値10とする、という処理を行うと今度は、GMがいつもより余計に選考や戦闘バランスで気を遣わなければならず、負担になります。 さらに、特殊神聖魔法「ディバイン・ウェポン」「ディバイン・アーマー」もバランスを難しくします。打撃力30防御力30となると完全に重戦士並で、シーフの持つクリティカルのしやすさと引き換えのリスクが消え、非常に有利な状態になってしまいます。 これはGMにとってもバランス取りが難しく、また周囲のファイターや(マイリーでない)シーフのプレイヤーに不公平感を抱かせることが予想されます。
《マーファ》 ……自衛のための実力行使や、生きていくための狩猟による殺生は肯定しますが、それ以外の暴力に関してはファリスより否定的なのがマーファです。 「ぺらぺらーず」のマーファ神官戦士マロウはこれに折り合いをつけるために、戦闘時に自分から攻撃的な行動をとるのは、敵側からPT側に攻撃があった後にしていたという記憶がありますが、セッション中にシーフ技能所持者に求められる行動にはもともとプリースト技能との相性が悪いものが多い上、それにさらにマーファならではの制限がかかることは、プレイヤー本人だけでなく、一緒に遊ぶほかのプレイヤーや、その制限に配慮してセッションを組み立てなければならないGMにとってかなり負担ではないかと思います。 また、公式ストーリーを考慮すると、マーファはある意味ファリスよりもフォーセリアの世界観に直結した存在です。よって、マーファの教義を考察することと、「ソード・ワールドRPG」の背景世界としてのフォーセリアの世界観設定について考察することとが、各プレイヤーの意識の中で同一視されやすい傾向はあると思います。それだけに、いったん教義についての議論が始まりそれが収拾の付かないものになった場合、他の神の場合よりプレイヤー同士の不和につながりやすいのではないかと危惧しています。
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