午後3時
金地区
噴水を中心に並んだ屋台。
そのうちの一軒で、老婆が漬け物を並べていた。
「いらっしゃい。たくあんは要らんかね」
「たくあん……?
あっ!! いました!」
そちらを見やったアネットが声を上げた。
伏せられた樽の一つに、尻尾に赤いリボンを結ばれた虎猫が乗って丸くなっている!
君は慌てて猫を捕まえた。人に慣れているらしく、猫は力を抜いて君の腕から垂れ下がる。
「無事に見つけられて、よかったのです〜……」
「その子を探してたのかい? おやまぁ。隊長さんに続いて、猫までうちの樽に隠れるとはねぇ」
隊長さんというのは有名人なのだろうか?
「そうだよ。もう何年前になるかねぇ。蛮族がこの街を襲ってきたことがあったんさ。
その時に力を貸してくれた傭兵隊の隊長さんのことでねぇ、うちの漬け物は、隊長さんが隠れた樽で漬けてるって、通の間じゃ有名なのさ。何から隠れていたかは知らんがねぇ」
穏やかではない話のような気がする……。
「ま、猫が隠れた樽って話を足しても、売り上げには影響なさそうだがねぇ」
老婆は言って笑った。
何はともあれ、目的は確保したと言えるだろう。早く少女の元に猫を返してやらねば。
移動する
→銅地区へ