午前10時

金地区

 君たちは、男性の背中に声を掛けた。

「うわ、……なんだい?
 もしかして、今の、見られてたのかな」

 男性はタクトと名乗った。柔和そうな顔立ちをしている。

タクトの話

「虎猫? 見てないなあ。
 トコはオリザの猫だしね」

 オリザというのは、さっきの女性のようだ。

「あ、あの義足はオリザが自分で作ったんだ。あいつを見つけたのは俺なんだけどさ……」

 タクトはそう言いながら、なぜか照れた。

「うん、俺はオリザにぞっこんなんだ。6回もプロポーズしたってのも本当だよ。ちゃんとムードを作ってから言ったりもしたんだけどね……
 いやあ、あんないい子めったにいないよ。こないだも一緒に花を見に行って、……」

   君たちは数分間、よくわからない彼女自慢を聞かされた。
 アネットが目を白黒させている。
「はっ……のろけ、なのでしょうか……」



「……ってわけで。うまく行ってないとも思えないんだけどな。
 結婚の話すると、いつもああなんだ」

「何か……事情があるんでしょうか?」

「かもしれないけど……、俺の家のことは気にするなって、いつも言ってるんだけどね」

「……? おうちですか?」

「ああ、俺んちはクルーデル商会って言って、親父が死んでからはほとんど俺が会長みたいな感じなんだ。
 だけどそれでオリザに苦労を掛けさせるつもりはないしなあ……趣味のことも続けていいって言ってあるし。
 オリザの親父さんは修理工で、あの子も魔動機械が好きなんだ。あのバイクだって一人でジャンクパーツを集めて組み上げたんだよ」

「あっ、それで義足も作れたんですねっ」

「そうそう! いやあ、もう何年前になるのかな、パーツ集めは俺も手伝ってね……」

 君たちは、またうっかり数分にわたるのろけを聞かされた……。



   まあ、7回目に賭けるとするよ。
 そうそう、俺はその猫のことは知らないけど、あの人ならこのへんにずっといたと思うから、聞いてみたらどうかな? マギテック協会の会長さんなんだけどね」

 タクトはすぐそばの、白い石の建物の前で掃き掃除をしている、青い髪の女性を指さした。

「ここは……マギテック協会だったのですね」

どうする?

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