午前12時
金地区
通りを進むと噴水があり、そこを広く囲むように様々なものの屋台が出ている。
会長が言った通りの軽食の他に、ちょっとした武器防具や冒険に使う消耗品が並んでいるのが目に留まった。
「……きゃっ!」
「おいおいどこに目ェ付けてんだコラァ!」
悲鳴を上げたのはアネットのようだ。君が振り返ると、ちんぴら風の若い男がアネットに向かってすごんでいるところだ。
君が2人の間に割って入ろうとすると、横合いから声を掛けられる。
「まぁまぁまぁまぁ。お姉さん達、見ない顔だね。そのなりは、冒険者かい」
そちらを見ると、脂ぎった両手に金の指輪をいくつもはめた太った男が立っている。
彼はにたり、としか形容できない笑いを浮かべ、アネットに難癖を付けている若い男をなだめた。
「まぁまぁ。ここはわたしの顔に免じて」
確かに顔の面積は広かった。ちんぴらは素直に引き下がるようだ。
「ケッ。バクドさんが言うならしょうがねぇ」
バクドの話
「えっと、ありがとうございます……?」
アネットがおそるおそる例を言う。太った男は馴れ馴れしそうだ。
「いやいや、お姉さん達も災難だったねぇ。
ところで、さぞかし名の知れた冒険者とお見受けするがねぇ。うん?」
「そ、そんなことないですよ」
「まぁまぁ。何かを買いに来たのかね? もし懐に余裕があるんだったら、うまい話があるんだが、一口乗らないかい?」
君は、今は仕事の途中であり、話を聞いている時間はないと伝えた。
「いやいやいや。それでは暇になった時でもいいからねぇ。わたしに声を掛けてくれたまえねぇ」
曖昧に濁して彼に背を向けると、舌打ちの音が聞こえた気がした……。
アネット
「なんだか……いえ、なんでもありませんっ……すみません……」
アネットはとても消沈している。どうやら、ここで食事を取るのはやめにして、落ち着いたところへ戻った方がいいかもしれない。
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