午前11時
銀地区
広い敷地の中には四角い建物があり、扉代わりの薄い紗をくぐると、香が焚きしめられいくつもの神像が並んでいた。
アネットはそのうちの一つ、キルヒア神を模したものの前で手を合わせ、猫が無事に見つかるように祈願している。
と、傍らから同じように祈る声が聞こえてきた。若い男性のようだ。
フレデリック
「偉大なるザイアよ、人々を守る力を、僕にお貸しください……」
重そうな鎧を着た、金髪に緑の瞳の、育ちの良さそうな青年が、ザイアに祈りを捧げている。
「あと、妹のエレノアを守ってください。エレが病気になったりしませんように。エレが悲しむようなことがありませんように。エレが幸せでありますように。エレ……ああ、エレに会いたいなあ……」
……ザイア神も大変そうだ。
しばらく経って、彼が祈りを終えた頃、虎猫の行方を知らないか尋ねてみた。
「虎猫? さあ、見てないな。ごめんね。
エレ……エレ元気かなあ……寂しがって泣いてないかなあ……」
……祈りのような何かは、まだ終わっていなかったようだ……。
どうする?
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